まず米、そして野菜

最初は離乳食の記録、途中からは読書の記録。

足取りのたどたどしさ。「こりゃまてまて」 中脇初枝 著、酒井駒子 絵

読み終わるとすぐ「もっかい読んで!」とリクエストされる絵本だ。つい昨日も続けて3回読まされた。酒井駒子さんの描く少し掠れた線がたまらない。ふよふよした髪の毛。何かに夢中になったときの少しとがった口元。体の割に大きい、アンバランスなあたま。説明書きがなくても分かる。ここに描かれているのは、まごうかたなき、1歳児だ!

1歳児は、興味の赴くままに手を伸ばす。天気のいい春の日、不器用に伸ばされる小さな手から、みんながのんびり逃げていく。ちょうは「ひらひらひら」。はとは「ばさばさばさ」。みんなそれぞれ、絵本のページの外側へ逃げてしまう。

最初に読んだとき、コハシは「しゅるしゅるしゅる」と草陰に潜り込むトカゲのしっぽを指差して、「あーあ」と言った。しっぽの絵だけでよく見分けたなあ、トカゲもヤモリもまだ見たことなかったのに。

この本の文字はスタンプで押しているんだろうか。ほんの少しふぞろいな文字列は、1歳児の覚束ない足取りのイメージによく合っている。目の前のものをよたよた追い回す、舌足らずな「こりゃまてまて」だ。

最後は、子供を呼び止める大人の声に変わる。「こりゃまてまて」と差し出される腕に、1歳児は簡単に捕まってしまうのだ。子供のやわらかそうなお腹をすっぽりと覆う、父親と思われる人物の大きな手。そうそう、この頃は、コハシの胴回りもこれくらいしかなかったんだよなあ。

こりゃ まてまて (0・1・2・えほん)

こりゃ まてまて (0・1・2・えほん)