ものまね玉砕。 「じゃあじゃあびりびり」松井紀子 著
自分が0歳児のころどんな本を喜んでいたのか全く覚えていないので(そりゃそうか)、絵本選びはクチコミ頼りだ。この本は「あかちゃんのファーストブックに最適です」「うちの子も楽しんで読んでいます」とやたらと評判がいいので買ってみた。どこの書店の絵本コーナーでも見かけるあたりに人気の高さを窺わせる。
見開きをたっぷり使って、シンプルに描かれた犬や掃除機が一つずつ登場する。添えられた「わんわん」「ぶいーん」などの擬音語を音読すると、自然とものまねをしてしまい、なんだか楽しくなってしまうという寸法だ。
読み始めるまで失念していたのだが、0歳児はここに描かれているものの実物をほとんど見たことがない。元ネタが分からないものまねなど、面白さ半減ではないか。迫真の演技を見せても反応がイマイチなわけだ。本を翼に見立てて飛行機をまね、部屋をぐるぐる回ってみせた時など、無表情で見つめられるばかりであった。あれはつらかった。
私はコハシと元ネタを共有するために目の前で掃除機をかけ、いらない紙をびりびりと破り、水道から水を流し、「ひつじのショーン」のオープニングを流して「ほら! これ! ニワトリ! こけこっこー! ね!?」と伝えてみた。
そのうちコハシはこの本を楽しむようになっていったが、私のものまねを楽しんでくれたかは分からない。少なくとも私はものまねを楽しんだ。とりあえず、ベストは尽くした。