はじめての、の、一歩先。 「たのしいいちにち(はじめてのこぐまちゃん)」若山憲 著
前の記事の「どうぶつ」、「じどうしゃ」とこの本とを合わせた3冊で、「はじめてのこぐまちゃんシリーズ」なのだそうだ。対象年齢は「0歳から2歳ごろまで」。その中でもこの本は、いくつかの言葉や時間の流れを理解できるようになった人に向けてつくられているような気がする。前述の2冊は1ページに一つのものしか出てこなかったが、この本にはものの動き、時間の流れが出てくるからだ。
朝ご飯を食べるところから布団に入って寝るまで、こぐまちゃんの1日の様子が描かれている。左ページには活動するこぐまちゃんの姿が、右のページには関連する小道具が並べられていて、見開き2ページで1シーンだ。左のページでこぐまちゃんが朝ご飯を食べていれば、右のページには目玉焼きやコップが並んでいる、といった調子。
コハシは最初、りんごや歯ブラシなどのアイテムにだけ反応して、こぐまちゃんの動きには無関心だった。「こぐまちゃん」というキャラクター自体に興味が薄いからかもしれない。2歳も半ばを過ぎてから、「はみがきねー」「ねんねねー」と、こぐまちゃんの動きにも注目するようになってきた。
配色の妙。 「じどうしゃ(はじめてのこぐまちゃん)」若山憲 著
前の記事の「どうぶつ」と同じシリーズの本。コハシが初めて触れることになった乗り物絵本だ。いや、2冊目だったかな。3冊目だったかな。まあとにかくそれくらい初期だ。
普段の様子から、電車や大型車に興味があることは分かっていたけれど、乗り物の本に対する食いつきのよさには目を見張った。本の内容は「どうぶつ」同様シンプルで、「じょうようしゃ」「バス」などが1ページに一つずつ描かれている。めくるたびにコハシは目を輝かせて「ばーすー!」「きゅうきゅうしゃ!」と叫ぶ。
肝心のこぐまちゃんは、最後の見開きページと表紙の2カ所にしか出てこない。それでも、表紙にしか出てこない「どうぶつ」と比べれば、出演回数は2倍に増えたといえよう。
若山さんの描く車は、これ以上ないくらい簡略化されつつも「メカっぽさ」を損なっていないのが、すごい。「ブルドーザ」の足回りや「パワーショベル」の油圧の表現にはほれぼれしてしまう。
若山さんの絵は、奇抜な配色にもかかわらずなぜか落ち着いた色あいに見える。車の窓を黄色や黄緑色に塗りつぶしたり、かなり大胆な色使いをしているのに親しみやすいのはどうしてなんだろう。こぐまちゃんの目のオレンジ色の縁取りとか、一歩間違えば気持ち悪くなってしまいそうなのになあ。
ぞうの2倍の大きさのどうぶつ。 「どうぶつ(はじめてのこぐまちゃん)」若山憲 著
手のひらサイズの厚紙絵本。読み始めたのはコハシが1歳になったころだったか。最初からいい反応をしていたので、かばんに入れて持ち運ぶ定番の1冊になった。くっきりした輪郭線でシンプルに描かれた動物が1ページに一つづつ出てくる。本文には「ひよこ」「うさぎ」と動物名のみで、こちらもシンプル。
ひよこ、うさぎ、ねこ……と、小さい動物から始まってだんだん大きな動物が出てくるかと思いきや、最後の最後でどんでん返しが待っている。大トリは、かば。まさかの、かば。なんと「きりん」→「ぞう」からの「かば」だ。そのうえ、かばだけ見開き2ページを使って描かれている。ぞうの2倍の大きさで描かれたかば! 意外な展開に思わず「かばだー! 大きい! ふはははははは!」と笑ってしまった。しかしなにしろ本文には「かば」としか書かれていないので、この衝撃をどう処理していいのか分からない。
タカハシが「うさぎは、ぴょんぴょん。いぬは、わんわん。」と読み聞かせたので、コハシもいっしょにオノマトペを話すようになった。1歳児の舌足らずな声によるライオンの「がおー」(両手を上げる動作付き)は、行く先々で大人たちから喜ばれ、私の親バカ心を大いに満たした。
一緒に読んでもらいたい。 「ぐるんぱのようちえん」 西内 ミナミ 著、堀内 誠一 絵
小さいときに大好きだった絵本がまだ読まれているのは嬉しい。この本は、背表紙に「読んであげるなら4才~自分で読むなら小学校初級向き」とあるとおり、少し文字が多い。コハシはまだ興味が湧かないようだ。読み聞かせたところでろくに見ない。それでもいい。本棚にあるだけで私が嬉しい。ああ、憧れの「とくだいびすけっと」。
タカハシは小学校初級以上だし自分で読めるだろう、と勧めてみたが、こちらも反応はイマイチだった。「ふーん」とペラペラめくっておしまい。つまらん。どうせなら一緒に面白がりたい。
そこで、タカハシが興味を持てるようにこの本の内容を紹介してみた。
◯かわいそうなぞうが自己実現を果たして充実した人生を手に入れるおはなしだよ!
◯本人の適正と職場とのミスマッチがどんなに不幸か啓発するおはなしだよ!
◯ニッチな技能にだけ特化してしまった技術者が、紆余曲折の末に自分にマッチした市場を発見するサクセスストーリーだよ!
「どうだい、読みたくならないかい」
これを聞いたタカハシは、目をそらせながら
「いろいろと言いたいことはある……しかし面倒くさいので明言はしたくない……」
と、本を棚に戻してしまった。つまらん。
ものまね玉砕。 「じゃあじゃあびりびり」松井紀子 著
自分が0歳児のころどんな本を喜んでいたのか全く覚えていないので(そりゃそうか)、絵本選びはクチコミ頼りだ。この本は「あかちゃんのファーストブックに最適です」「うちの子も楽しんで読んでいます」とやたらと評判がいいので買ってみた。どこの書店の絵本コーナーでも見かけるあたりに人気の高さを窺わせる。
見開きをたっぷり使って、シンプルに描かれた犬や掃除機が一つずつ登場する。添えられた「わんわん」「ぶいーん」などの擬音語を音読すると、自然とものまねをしてしまい、なんだか楽しくなってしまうという寸法だ。
読み始めるまで失念していたのだが、0歳児はここに描かれているものの実物をほとんど見たことがない。元ネタが分からないものまねなど、面白さ半減ではないか。迫真の演技を見せても反応がイマイチなわけだ。本を翼に見立てて飛行機をまね、部屋をぐるぐる回ってみせた時など、無表情で見つめられるばかりであった。あれはつらかった。
私はコハシと元ネタを共有するために目の前で掃除機をかけ、いらない紙をびりびりと破り、水道から水を流し、「ひつじのショーン」のオープニングを流して「ほら! これ! ニワトリ! こけこっこー! ね!?」と伝えてみた。
そのうちコハシはこの本を楽しむようになっていったが、私のものまねを楽しんでくれたかは分からない。少なくとも私はものまねを楽しんだ。とりあえず、ベストは尽くした。
解せぬ。 「しましまぐるぐる」柏原晃夫 著
背表紙の解説によると、この本は生後6カ月くらいから楽しめるように作られているらしい。丈夫なボードブック(厚紙)仕様で、はっきりした色使いで「しましま」と「ぐるぐる」の絵が交互に描かれている。
コハシが0歳児のころは、指でしまをなぞりながら「しましまー」とかなんとかいって読み聞かせた。
コハシは、最初は私の動きに合わせてぼんやり紙面を叩いていただけだったが、そのうち1ページにだけ強く反応するようになった。
これだ。
コハシお気に入りのこのページだけが、私にはどうにも解せぬ。
- 作者: 柏原晃夫
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2009/04/07
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探したけれど見つからないので。
まだコハシが産まれたてで、炊飯器みたいな音を立てていたとき、母が「あなたが好きそうなものを見つけたわよ」と、読書記録を付けるノートをくれた。「この子に本を読み聞かせるようになったら書いてみたら?」というので、それはいい、とコハシの手が届かないところに大切にしまった。背表紙がしっかりしている、素敵な本だった。と、思う。
なくしました。
「コハシもアラサーになったしそろそろあれを活用すべきかしら」と思ったんだけど。いやあ、ないわー。ない。どこをどう探しても、ない。
仕方がないので、離乳食ブログに飽きて2年弱放置していたここを、読書記録を記す場として再利用しようと思います。手書きは苦手だしちょうどよかったかもしれない。
<登場人物おさらい>
窪橋 kubohashi(私)/タカハシ(夫)/コハシ(アラウンド3歳)